給食で「苦手な食べ物」が出たとき、いちばん困るのは“気持ち”かもしれません
給食でどうしても食べられない食材が出ると、味そのもの以上に、「残したら怒られるかも」「みんなに見られるのがつらい」「時間内に食べきれない」といったプレッシャーが苦しくなりがちです。実際、完食を強く求められる経験が、登校の負担につながるケースがあることも指摘されています。
文部科学省は、学校給食を「栄養の補給」だけでなく、食に関する指導(食育)を進めるための教材として位置づけています。つまり、給食は“苦手を責める時間”ではなく、“望ましい食習慣を身につける学びの場”という考え方です。
この前提に立つと、苦手な食材(たとえば茄子、レバー、チーズ系など)に向き合うコツは、「根性で飲み込む」ではなく、「負担を減らしながら、少しずつ慣れる」方向に整理できます。
給食の「天敵」を持つ人が本当に解決したいこと
「給食の天敵は何でしたか?」という話題の裏には、次のようなニーズが隠れていることが多いです。
- 自分だけが苦手なのか不安で、共感や安心材料がほしい
- 当時のイヤな記憶(居残り、叱責、周囲の視線)を“笑える思い出”に変えたい
- (今、親になった場合)子どもが同じ状況で苦しまないようにしたい
この記事では、子ども本人・保護者・大人になってから思い出してつらくなる方のどちらにも役立つように、現実的な対処をまとめます。
無理に食べさせない流れは強まっています
近年、給食での「完食指導」については見直しが進み、「無理に食べさせない」「量を調整する」「段階を踏む」といった対応に移行しつつある、という報告があります。実際の現場でも、食べる前に“匂いをかぐ・舐める・ひと口だけ”などのステップを設ける考え方が紹介されています。
参考:
子ども本人向け:給食で苦手が出た日の「現実的な」乗り切り方
1)最初に“量”を調整する(減らすのは逃げではありません)
苦手食材が入ったメニューでも、最初から通常量だと心理的負担が大きくなります。先生に相談できる環境なら、「少なめ」や「ひと口分」など、達成できる量に調整するのが現実的です。ここで大切なのは、
「減らした=必ず完食しなければならない」にならないようにすることです。減らしても苦しい日はあります。
2)“食べる前のステップ”を作る
いきなり食べるのがしんどいなら、次の順番に落としていくと、達成感が作りやすいです。
| ステップ | やること | ねらい |
|---|---|---|
| 0 | 皿にのせるだけ | 「避け続ける」状態を止める |
| 1 | 匂いをかぐ | 脳の警戒を下げる |
| 2 | 先端をちょっと舐める | 味の情報を小さく入れる |
| 3 | 米粒サイズを口に入れて出してもOK | 口に入れる経験を作る |
| 4 | ひと口だけ飲み込む | 成功体験として固定する |
この「段階を踏む」考え方は、給食の場面でも紹介されています(前掲のベネッセ記事参照)。
3)味の“逃げ道”を作る(牛乳・ごはん・汁物の使い方)
苦手は味や食感が強いことが多いので、次のような「口直し」をセットにしておくと気持ちがラクになります。
- ひと口食べたら、ごはんをひと口
- 汁物がある日は、汁で流せる順番にする
- 牛乳は最後にまとめて飲む(苦手が強い人は逆にリセット用に使う)
4)「からかわれた」「注目がつらい」場合は、先に大人へSOS
苦手な食材そのものより、周囲の視線がつらいケースは少なくありません。からかいがある場合は、担任や養護教諭、スクールカウンセラーに早めに伝えるほうが安全です。食の問題はメンタルと直結しやすく、我慢が長引くと「給食=恐怖」と結びつきやすいからです。
保護者向け:家でできる“偏食の縮め方”
家庭でできることは、学校よりも選択肢が広い反面、頑張りすぎると親子ともに疲れます。ポイントは「栄養」と「克服」を分けて考えることです。
1)栄養確保のための「移行メニュー」を用意する
苦手食材が多い時期は、まず栄養を確保できる形にしてOKです。たとえば、野菜を細かくしてひき肉料理に混ぜるなどの方法は、栄養面の現実解になります。
「苦手そのものを食べられるようになる」こととは別ルートとして、移行メニューを使う考え方が紹介されています。
※「野菜を細かくして混ぜる」を無理なく続ける補助
※「つぶす・混ぜる」でポタージュ等にして入口を作る補助
参考:
2)苦手食材は“形のある状態”で、ほんの少しだけ出す
移行メニューだけだと、「気づかないうちに食べている」状態で止まりやすいです。そこで、同じ食材を、形がわかる状態でほんの少し添えると“慣れ”が進みやすくなります。たとえば茄子なら、いきなり大きい乱切りではなく、薄切り1枚からで十分です。
3)声かけは「評価」より「観察」
「えらい!」「全部食べた!」よりも、
「今日はここまでできたね」「前より匂いが平気になったね」
のような観察ベースの声かけのほうが、子どもが追い込まれにくいです。
4)それでも強い苦痛がある場合は、専門家に早めに相談する
嘔吐反射が強い、極端に食べられる品目が少ない、体重増加が止まっている、給食のせいで学校を嫌がるなどが重なる場合は、家庭の工夫だけで抱え込まないほうがよいかもしれません。小児科、自治体の子育て相談、学校の栄養教諭・養護教諭など、相談先を複数持つと安心です。
茄子が苦手な人向け:味と食感を変えるコツ
茄子が苦手な理由は、主に「皮の歯ざわり」「スポンジのような食感」「油を吸う感じ」「独特の香り」に分かれます。対処は“嫌な要素”を減らすのが近道です。
1)皮の存在感が苦手なら、ピーラーで一部だけむく
全部むかなくても、縦にしま模様になる程度にむくだけで、噛んだときの抵抗が下がります。
※「皮の存在感」を減らす下処理の再現性アップ
2)食感が苦手なら、焼き>煮>揚げの順に試す
油を吸うのが苦手な場合、揚げびたしが逆効果になることがあります。焼いて水分を飛ばし、香ばしさを足すほうが食べやすい人もいます。
3)味付けは「甘辛」「味噌」「チーズ」など強めから
最初は“素材を味わう”方向より、濃い目の味付けで入口を作るほうが成功しやすいです。麻婆茄子、味噌炒め、ミートソースに少量混ぜるなどが定番です(前掲の小児科医コメントでも、ひき肉料理に野菜を混ぜる工夫が紹介されています)。
大人になってからも給食がトラウマの方へ
「給食の天敵」は笑い話になりやすい反面、居残りや叱責が強かった世代では、当時の体験が今でも残ることがあります。ここで大切なのは、
「食べられなかった自分が弱い」のではなく、環境のプレッシャーが強すぎた可能性もある、という整理です。
もし今でも会食が苦手、人前で食べると緊張する、食事の場面で強い不安が出る場合は、心身の問題として相談する価値があります。自分を責める方向に寄せないことが、回復のスタートになります。
よくある質問
Q. 給食は残してもいいのでしょうか?
学校や先生の方針で差がありますが、近年は無理に完食させない流れが強まっているとされます。まずは家庭から学校に事情を共有し、量の調整や段階的な取り組みができるか相談してみるのが現実的です。
Q. 「好き嫌いしないで」と言われると反発します
好き嫌いをゼロにするより、食べられる範囲を少しずつ広げるほうが現実的です。「今日は匂いだけ」「今日はひと口」など、目標を小さくして、本人の主体性を守るほうが続きます。
Q. 栄養が心配です
短期的には、食べられる食材で栄養を確保することが優先です。栄養面の不安が大きい場合は、自治体の栄養相談や小児科など、外部の視点を入れると安心です。
まとめ:給食の苦手は「共感」と「小さなステップ」で軽くできます
- 苦手食材よりも、プレッシャーや視線が苦痛の本体になっていることがあります
- 量の調整と、食べる前のステップ(匂い→舐める→ひと口)が現実的です
- 家庭では「栄養確保」と「克服」を分け、移行メニュー+少量の実物で慣れを作ります
- 学校がつらいほどの場合は、早めに大人・専門家へ相談したほうが安全です
給食の「天敵」は、誰にでも一つや二つあったかもしれません。まずは「同じように苦手な人は多い」と知り、無理のない範囲で“できるところまで”を積み重ねることが、いちばん遠回りしない方法です。



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